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執筆者の写真理事長 森 顕子

プラス・エデュケートを始めた理由 part2




 私たちは「長男・長女」の夫婦です。親に孫の顔を見せてあげたいという想いもあり、それからは子どもを持つことが「夫婦の目標」になりました。しかし、なかなか子どもには恵まれず、医療機関で受診すると、不妊治療が必要だと告げられました。(もしかしたら読者の中にも同じような状況におかれている方がいるかもしれませんね。)しかし、私は、そのことをすぐには受け入れられませんでした。


 自慢ではないのですが、私は物心ついたころから、健康には自信があり、大きな病気はもちろん、インフルエンザにすら罹ったことがないほどで、学校の先生からは「お前は将来いいおっかさん(お母さん)になるぞ。」と、おしりを指して言われたほどでした。(今ならセクハラと言えるでしょうね)


 ですから、結婚したら、その気になればいつでも子どもは持つことができると思っていて、そのことに疑問すら抱かなかったのです。しかし、医師からは「年齢が年齢だから1日も早く治療に入った方がいい。」と言われ、夫婦ともに心の準備が完全にできないまま、治療に入ることになりました。


 不妊治療をしたことがある方ならおわかりだと思いますが、治療を続ける期間は自分と常に対話する期間と言えます。私たちは高度生殖医療を受けなければならなかったため、命を「人の手」によって生み出すということに抵抗感がありました。誤解されたくないのですが、高度生殖医療を受けている方や、それを経て愛しいわが子を手にした方たちに意見するつもりは微塵もありません。ただ、私たちは治療をしなければ子どもを持てない夫婦であるということを十分に理解し、その事実を受け止めて話し合う前に治療に入ったため、抵抗感や違和感を持ち続けてしまいました。


 「どうして子どもがほしいのか。」「夫婦二人では幸せになれないのか」という自問を何度繰り返したことでしょうか。そして、治療がうまくいかないたびに、妻としてだけでなく、女性としても、人間としても価値がないと思うようになっていきました。不妊の主な原因は私のほうにあったため、私と結婚さえしなければ、夫は子どもを持つことができたのかもしれないという罪悪感で、一時は夫婦関係を解消した方がいいと思い詰めるほどでした。

また、ある政治家が「女性は子どもを産む機械だ」と言ったり、「(子どもを産めない女性は)生産性がない」などという発言があったなどという報道があったりすると、その度に感情が揺れ動きました。


 正直にいうと、子どもを産むことができないという事実を、きちんと受け入れられたのは、つい最近です。約10年かかりました。ですから不妊治療をしている方に、続けた方がいいともやめた方がいいとも言えません。自然にありのままの自分を受け入れるには、時間も大切なのではないかと思います。そして、自分自身が本当に納得することが、次への一歩になるのではないかと思います。

そんな私が、プラス・エデュケートを立ち上げるのは、ちょうど不妊治療を続けるか、やめるかを悩んでいたころのある出会いがきっかけでした。



続きは第3回で・・・・・



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